2008.02.29
バイロイト2008 配役予定発表

イレーネ・テオリン
今年のバイロイト音楽祭の配役予定がようやく出ました。
昨年は2月上旬には出たと思いますが、今年は月末ぎりぎり。
注目はすべてのメインキャストが総入替となったダニエーレ・ガッティのバイロイト初指揮となる「パルジファル」。
藤村さんが「指環」から抜けてクンドリー(!)。彼女のエールダは息が浅く、個人的には不満でしたが、これは役としても非常にハマりそうで、いまから楽しみ。
また、アンフォルタスには初登場のデトレフ・ロート。このひとはよくネットラジオで見かけるひとで、ワーグナーはグンターやドンナー、「ローエングリン」の伝令などを歌っていますが、アンフォルタスは実演初役とのこと。グルネマンツはローベルト・ホルがついに降りてマルケ王に回り、深みを増すクワンチュル・ヨウンが歌います。タイトルロールにはこのひとも初登場のクリストファー・ヴェントリスの名が。ヴェントリスは2006年のアムステルダムで、マリス・ヤンソンスが振った「マクベス夫人」のセルゲイ役の強烈な印象が思い浮かびますがパルジファルとは。このほかティトゥレルをブラジルのディオゲネス・ランデス、クリングゾルはドイツのトマス・イェサトコがいずれも前年初登場で端役から昇格となります。
最もうれしいのは「トリスタン」のイゾルデを復帰するイレーネ・テオリンが歌うことでしょうか。ステンメも実に素晴らしかったですが。同郷のビルギット・ニルソン譲りの透き通った美声の持ち主で、やや線は細いものの芯の強い表現で聴かせます。これは期待大です。既に2年前にモネ劇場で大野和士の指揮でイゾルデを歌っています。
トリスタンは2006年に引き続きロバート・ディーン・スミスが歌い、クルヴェナールはハルトムート・ヴェルカーから、オランダ人やアンフォルタスを歌っていたユッカ・ラシライネンへ。ホルのバイロイトでは初役となるマルケも楽しみ。なんと言ってもペーター・シュナイダーの指揮がうねるような熱を持っていたので、今年も名演が期待されます。
2年目となる「マイスタージンガー」は昨年とまったく変更がありません。評判のよくなかったハヴラタも含めて、ワーグナーの中ではアンサンブル・オペラですからキャストを変えずに表現の深化を待つということでしょうか。
3年目となるティーレマン・リングも男声陣には変動はありませんが、一昨年までゼンタのみを歌っていたアドリエンヌ・ダッガーがブリュンヒルデ、進境著しいオランダのドラマティック・ソプラノ、エーファ・マリア・ウェストブロークがいよいよ初登場でジークリンデを、同じく初登場のクリスタ・マイヤーがエールダと、女声陣は大幅に変更になっています。ラインゴールドマニアとしては、この楽劇の後半はエールダの出来にかかっていると言っても過言ではありません。さてどうか。
全体的な印象として、今年はかなり若返りが図られている感じがしますが、どうなりますことやら。音楽祭は7月25日の「パルジファル」で幕を開けます。

デトレフ・ロート
2008.02.12
パリの聴衆に愛される小澤と日比谷のフライング
先の三連休中、日月と私は仕事だったんですが、日曜未明のネットラジオで流れた小澤の「タンホイザー」と、朝のBSハイビジョンの井上道義指揮ショスタコーヴィチ4番はしっかり録りまして、ようやく聴いたところです。
まず小澤の「タンホイザー」ですが、聴衆の拍手に混じった歓声を聴いていると、パリのひとは小澤が本当に好きなんだなあと感銘を受けました。なにしろ老いも若きもみな叫んでいる。
オペラの収録放送には珍しく、各幕指揮者の入りの拍手から収められており、このパリっ子の熱の入り方がすごい。ブラヴォーの嵐です。演奏後もまた然り。
しょうもない話ですが、パリ人のブラヴォーはほかの国に比べてまとまりがない。ドイツとかだとどこかでまとまって「ブラヴォー」となって一斉に響いてきて、それはそれですごいんですが、パリだと大体みんな好き勝手なところで叫ぶもんですから、なんと言うか「個」のブラヴォーがぽんぽん聞こえてきて実に面白いんです。そのくせ独墺圏ではほとんどない手拍子はある(これが一番すごいのはハンガリーです)。
よく分からない国民性ですが、長年ライヴを聴いているとこういう反応の面白さも楽しめます。
小澤のパリ・ライヴは聴けるものがほとんどなく、手持ちの1980年代後半のラヴェル・プログラム(フランス国立管)もウィーンでのライヴ。NHK-FMでフランスのオケの放送が少なすぎたこともありましたが、やはり小澤だともっと関係の濃いベルリン・フィルとかウィーン・フィルが圧倒的に多かったせいもあるでしょう。
小澤のパリでの人気はよく耳にしていましたが、ようやくその愛されぶりが伝わった演奏会を聴くことが出来ました。まだまだ頑張って欲しいもんです。
聴衆の熱のお陰もあって、いい感じのライヴを聴いたところで昨年12月のショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏会。最も好きな4番が放送されるというのでかなり楽しみにしていました。
演奏は全編緊張感の張り詰めた名演だったと思います。どのソロも危うい箇所もあったものの集中力を保ち、力漲るものでした。
特に第一楽章のフーガの部分は鬼気迫り、弦セクションの必死さは映像ならでは。コンマスがこれだけ体全体でオケをリードするさまは日本のオケでは随一だと思いました。
ところが・・・
終楽章、あの壮絶なカタストロフを経て、静かに徐々に最後の音が薄く絶えて行くなかで、絶望的なフライング拍手(!)。しかも確信犯的に盛大な「ぱちぱちぱちぱち」。
これには参りました。
たとえば盛り上がって終わる曲であれば、まだ気持ちも分からないではないのですが、あの曲でそれはないだろう・・・。
長年ライヴを聴いていてもこういう無粋なものはちょっとなかなか耳に出来ません。
小林研一郎が大阪フィルに客演した「マンフレッド交響曲」のエアチェックがあります。もう10年前。ちょうど会場に居合わせて後日放送されたものですが、これも静かに終わる曲です。
消え行くような音、微動だにせぬ指揮者とオケ、静寂・・・。
それを打ち破ったのはちょうど斜め前に座っていたある聴衆でした。実にタイミング絶妙な「ブラヴォー」でした。
曲もよくご存知で、しかも演奏に心から感銘を受けたのがよく分かるものでした。
ショスタコーヴィチのライヴだと、昔ラザレフとボリショイ響の来日公演での交響曲第8番でもこういうことがあったとか。
2年前の大野と新日のタコ4はすごい静寂で、終わって1分あまりもまだ曲が続いているかのような緊張感がホール全体に漲っていたんですが。
日本ではもう聴きたくなくなりますね。4、8、13、15番あたりは特に。
まあライヴを聴いているから、と割り切るしかないんでしょう。
せっかくの「タンホイザー」の感銘が消えそうになってしまいました。
まず小澤の「タンホイザー」ですが、聴衆の拍手に混じった歓声を聴いていると、パリのひとは小澤が本当に好きなんだなあと感銘を受けました。なにしろ老いも若きもみな叫んでいる。
オペラの収録放送には珍しく、各幕指揮者の入りの拍手から収められており、このパリっ子の熱の入り方がすごい。ブラヴォーの嵐です。演奏後もまた然り。
しょうもない話ですが、パリ人のブラヴォーはほかの国に比べてまとまりがない。ドイツとかだとどこかでまとまって「ブラヴォー」となって一斉に響いてきて、それはそれですごいんですが、パリだと大体みんな好き勝手なところで叫ぶもんですから、なんと言うか「個」のブラヴォーがぽんぽん聞こえてきて実に面白いんです。そのくせ独墺圏ではほとんどない手拍子はある(これが一番すごいのはハンガリーです)。
よく分からない国民性ですが、長年ライヴを聴いているとこういう反応の面白さも楽しめます。
小澤のパリ・ライヴは聴けるものがほとんどなく、手持ちの1980年代後半のラヴェル・プログラム(フランス国立管)もウィーンでのライヴ。NHK-FMでフランスのオケの放送が少なすぎたこともありましたが、やはり小澤だともっと関係の濃いベルリン・フィルとかウィーン・フィルが圧倒的に多かったせいもあるでしょう。
小澤のパリでの人気はよく耳にしていましたが、ようやくその愛されぶりが伝わった演奏会を聴くことが出来ました。まだまだ頑張って欲しいもんです。
聴衆の熱のお陰もあって、いい感じのライヴを聴いたところで昨年12月のショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏会。最も好きな4番が放送されるというのでかなり楽しみにしていました。
演奏は全編緊張感の張り詰めた名演だったと思います。どのソロも危うい箇所もあったものの集中力を保ち、力漲るものでした。
特に第一楽章のフーガの部分は鬼気迫り、弦セクションの必死さは映像ならでは。コンマスがこれだけ体全体でオケをリードするさまは日本のオケでは随一だと思いました。
ところが・・・
終楽章、あの壮絶なカタストロフを経て、静かに徐々に最後の音が薄く絶えて行くなかで、絶望的なフライング拍手(!)。しかも確信犯的に盛大な「ぱちぱちぱちぱち」。
これには参りました。
たとえば盛り上がって終わる曲であれば、まだ気持ちも分からないではないのですが、あの曲でそれはないだろう・・・。
長年ライヴを聴いていてもこういう無粋なものはちょっとなかなか耳に出来ません。
小林研一郎が大阪フィルに客演した「マンフレッド交響曲」のエアチェックがあります。もう10年前。ちょうど会場に居合わせて後日放送されたものですが、これも静かに終わる曲です。
消え行くような音、微動だにせぬ指揮者とオケ、静寂・・・。
それを打ち破ったのはちょうど斜め前に座っていたある聴衆でした。実にタイミング絶妙な「ブラヴォー」でした。
曲もよくご存知で、しかも演奏に心から感銘を受けたのがよく分かるものでした。
ショスタコーヴィチのライヴだと、昔ラザレフとボリショイ響の来日公演での交響曲第8番でもこういうことがあったとか。
2年前の大野と新日のタコ4はすごい静寂で、終わって1分あまりもまだ曲が続いているかのような緊張感がホール全体に漲っていたんですが。
日本ではもう聴きたくなくなりますね。4、8、13、15番あたりは特に。
まあライヴを聴いているから、と割り切るしかないんでしょう。
せっかくの「タンホイザー」の感銘が消えそうになってしまいました。
2008.02.09
インバル、チェコ・フィルへ

ヘラルド・トリビューンによると、エリアフ・インバルが2009-10シーズンより、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に就任する模様です。任期は不明です。
インバルとチェコ・フィルとは客演はしているようですが、それほど深い仲だったとは思えません。ネットラジオでは2005年の10月に行われた定期演奏会の放送が流れ、フィビフ(フィビヒ)の喜劇序曲、H・シフとのドヴォルザークのチェロ協奏曲、アルプス交響曲が取り上げられたことがあります(EBUによる中継)。
個人的にはほとんど放送はありませんが、聴きに直接出向ける都響への就任はありがたかったのです。それがチェコ・フィルとなると・・・。
チェコ国営放送のクラシック局Vltavaではチェコ・フィルの放送もあまりないし、この局のストリームは不安定かつ音が歪むので、正直現状では微妙です。高音質局のある国の放送オケのシェフあたりがよかったんですが。
BSで「プラハの春」オープニングの「わが祖国」が復活してくれればまだいいんですけれども、それもないしなあ・・・。
2008.01.25
神の如きグレート

2008年1月24日 ヘルベルト・ブロムシュテット指揮NHK交響楽団
クリスティアン・ゲルハーエル(バリトン)
マーラー:さすらう若人の歌
シューベルト:交響曲第8番「グレート」
東京、サントリー・ホール
行って参りました。
今定期中、なんとしてもこのプログラムだけは聴き逃せんという覚悟でチケットを確保していましたが、なぜか当日終業間際にトラブル続発する仕事・・・おいおい。
開演10分前にあわててホールへ駆け込み、朝イメージした寛いだ風情で開演を待つ余裕など微塵もなく悄然と席へ。
N響をナマで聴くのはもう十何年ぶり、確か1990年代前半の渋谷で、フルネのシューマン4番などだったと思います(腰が重過ぎです)。しかもあんまり覚えてない・・・。
演奏は前半のゲルハーエルも好唱で素晴らしかった(ネットラジオでラインガウ音楽祭2006でインバルと共演した録音がありました)のですが、それ以上に後半の大ハ長調のあまりの凄さに唖然。
オケの面々も驚くほど必死。ブロムシュテットもノリノリの指揮で、一階中央まで「しゅうううう〜」という彼独特の息遣いが随所で聴かれ、興が乗ると見られる(?)左足上げも終楽章で発動。反復込み一時間ほどがあっという間に過ぎて行きました。
ブロムシュテットの大ハ長調は、NDRと2006年5月に演奏したライヴがネットラジオで放送されています。引っ張り出して前もって聴いた印象では、基本的に速目のテンポでグイグイ押し進む推進力と、音の強弱をはっきりと付けた明快さが絶妙で、非常に見通しのよい名演奏でした。
それに比べ、今回のN響との演奏はさらにテンポが前のめりでどんどん先へ進みます。それでも全然セカセカした感じがしません。次第に熱を帯び豪快に締めたクライマックスはあの圧倒的なブル7の記憶がよみがえるかのような巨大さでした。
第二楽章も至福の瞬間の連続も全休止では物凄い緊張感が張り詰め一筋縄では行かず、終わるなと言わんばかりの愉しげなスケルツォ(最後の音のあとにまたトリオが始まって欲しいなあとさえ感じたほどです)を経て、終楽章に至ってはここだけNDRとの演奏で行っていなかった提示部の反復がビシッと決まり、乗りに乗ってまさに歓喜が爆発、これほどのグレートはいままで聴いたことがないくらいの感銘を受けました。もう、ただただ凄かった。
それにしてもブロムシュテット、若々しい音楽です。驚くべき80歳。もっともっと追いかけてみたいひとです。とりあえず名古屋も行くか・・・!?
2007.02.24
アーノンクールのモツレク

ニコラウス・アーノンクール指揮ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
ラシェル・ヤカール(ソプラノ)オルトルン・ヴェンケル(アルト)
クルト・エクヴィルツ(テノール)ローベルト・ホル(バス)
ウィーン国立歌劇場合唱団
バッハ:カンタータ第161番「来たれ、汝甘き死の時よ」
モーツァルト:レクイエム
1980年11月1日、ウィーン、ムジークフェライン大ホール。
TDKコアのDVDです。
週末休み前にタワレコに寄ったらひょっこり出ていました。痛恨の録画失敗となった年末のNHK音楽祭BS放送のこともあり、即座に買い。
この時期の映像はユニテルによるフィルム収録全盛なので、ORFによるビデオ収録なのはありがたい。カメラアングルも、この時期に指揮者正面からのショットが入っているのは珍しいのではないでしょうか。日本でそういうのを見たのは1980年代も終わりごろ、テンシュテットとロンドン・フィルのワーグナー・プロあたりでしたか。
TDKコアの仕事は数年前にクナのものが出て以来、信用しています。手を加えずに出してくれるのが何よりもありがたい。楽章間や拍手カットなどはもってのほかと考える私にとっては、いい仕事をしてくれるレーベルです。
ただ、今回はおそらく元映像からそうなのでしょうが録音がいまいち。音楽の終止時の残響処理が不自然というか、ややエコーがかっているのが気にはなります。
しかしこの演奏の歴史的意義は重要です。楽壇に(それも27年も前のウィーンで!)挑戦状を叩き付けるアーノンクールの若き日の溌剌とした雄姿に思わず目頭が熱くなります。やや鈍い国立歌劇場の合唱を睨み付け、オケ2合唱8くらいの割合で指揮をする凄い形相のアーノンクールにはただただ恐れ入るばかりです。
過激なアクセントと不協和音を持って南西ドイツ放送響に客演したのは1982年ごろだったと思いますが、そのときの「プラハ」と「軍隊」交響曲の強烈さのルーツがまさにここにあります。
そんな闘将アーノンクールでも、この時代のモツレクではさすがにまだバイヤー版を使用しているのも興味深く、時代を感じさせてくれます。1990年代にモーツァルト週間で同曲を振った際(確かウィーン・フィル)には「ラクリモーサ」のモーツァルト自筆の何小節かまでで演奏を止め、間髪入れずに「アヴェ・ヴェルム・コルプス」を挿入するという、当時としては画期的な解釈を採用したこともあり、彼のモツレクとの苦闘のほどがいまこの映像を見ると偲ばれます。
独唱者はワーグナー歌いとしても評価されているひとたちが出ているのもまた個人的なツボです。当時チューリヒでアーノンクールと一緒に仕事をしていたラシェル・ヤカール(バイロイトのフライアもよかった)。バイロイトでハンナ・シュヴァルツとエールダ、フリッカを当時歌い分けていたオルトルン・ヴェンケルも映像は初めて見ましたが深く響くいい声です。エクヴィルツもホル(若い!)もそれぞれいい。
歴史的なドキュメントとして、これは本当に素晴らしい映像を見た気がします。
2007.02.12
バイロイト2007 配役予定発表
http://www.bayreuther-festspiele.de/Besetzung/2007/Besetzung_2007.asp(バイロイト音楽祭HP)

ハンス=ペーター・ケーニヒ
例年2月に発表される夏の配役予定が出ました。
今年の大きな呼び物としては、カタリーナ・ワーグナーによる新演出「マイスタージンガー」がまず第一に挙げられるでしょう(セバスティアン・ヴァイグレ指揮)。ヴォルフガング・ワーグナーによる2002年の上演以来となり、配役も1999年からヴァルターを歌っているロバート・ディーン・スミス以外は完全に変更になっています。
注目のザックスはフランツ・ハヴラタ。もうヴェテランの域のひとですが、声質が軽い印象なので、どうでしょうか。個人的にはネットラジオでよく接していたミヒャエル・フォレのベックメッサーに期待。ポーグナーのアルトゥール・コルンは芸歴も長く、来日したこともあるようです。クレメンス・ビーバーに代わってダーフィトを歌うノルベルト・エルンストは、過去バイロイトで端役を歌ってきましたが、今回が初の大役。エーファに予定されているアマンダ・メイスも、昨年のオルトリンデの初登場から抜擢です。
また、アルロー演出で復活した「タンホイザー」はファビオ・ルイージの指揮が楽しみでしたが、タンホイザー役が二線級の代役名人ヴォルフガング・ミルグラムでは・・・。うーむ。2005年以来中一年での復活なので、ほかはそう大きな変更はありません。
一方「パルジファル」は若干マイナーチェンジといったところでしょうか。クリングゾルが初登場のカルステン・メヴェス。このひとは浮ヶ谷孝夫指揮フランクフルト国立交響楽団と来日して「第九」のソリストでした。マインツ歌劇場の花形歌手とのこと。アンフォルタスをユッカ・ラシライネン、ティトゥレルを上記A・コルンが歌います。
そして「指環」、ティーレマン二年目はシュトルックマンがヴォータンを降り、アルベルト・ドーメンになるのが最大の変更点。シュトルックマンではないのは残念ですが、代わりが経験豊富なドーメンならばちと聴いてみたいというのが正直な印象。
個人的に嬉しいのはイルキ・コルホネンの寸詰まりなファーフナーに代わり、ついにハンス=ペーター・ケーニヒが巨人を歌うこと。ストックホルムの「ラインゴールド」での美しく力強いファーゾルトが忘れられず、去年「なんでハーゲンだけやねん!」と不満(でもハーゲン役には満足)でしたが、これは朗報です。クワンチュル・ユンのファーゾルトと併せ、これは近年最高のコンビになるのでは。
残念なのはイレーネ・テオリンがヴァルキューレから消えること。ゆくゆくはここでブリュンヒルデをと、期待していたんですが。
ほか「指環」では「黄昏」のグンターをマルコ=ブールメスターに代わりラルフ・ルーカスがドンナーと併せ歌うくらいが、大きな変更でしょうか。
更に音楽が深化するであろうティーレマンの二年目、今から楽しみです。

クリングゾルのカルステン・メヴェス

ハンス=ペーター・ケーニヒ
例年2月に発表される夏の配役予定が出ました。
今年の大きな呼び物としては、カタリーナ・ワーグナーによる新演出「マイスタージンガー」がまず第一に挙げられるでしょう(セバスティアン・ヴァイグレ指揮)。ヴォルフガング・ワーグナーによる2002年の上演以来となり、配役も1999年からヴァルターを歌っているロバート・ディーン・スミス以外は完全に変更になっています。
注目のザックスはフランツ・ハヴラタ。もうヴェテランの域のひとですが、声質が軽い印象なので、どうでしょうか。個人的にはネットラジオでよく接していたミヒャエル・フォレのベックメッサーに期待。ポーグナーのアルトゥール・コルンは芸歴も長く、来日したこともあるようです。クレメンス・ビーバーに代わってダーフィトを歌うノルベルト・エルンストは、過去バイロイトで端役を歌ってきましたが、今回が初の大役。エーファに予定されているアマンダ・メイスも、昨年のオルトリンデの初登場から抜擢です。
また、アルロー演出で復活した「タンホイザー」はファビオ・ルイージの指揮が楽しみでしたが、タンホイザー役が二線級の代役名人ヴォルフガング・ミルグラムでは・・・。うーむ。2005年以来中一年での復活なので、ほかはそう大きな変更はありません。
一方「パルジファル」は若干マイナーチェンジといったところでしょうか。クリングゾルが初登場のカルステン・メヴェス。このひとは浮ヶ谷孝夫指揮フランクフルト国立交響楽団と来日して「第九」のソリストでした。マインツ歌劇場の花形歌手とのこと。アンフォルタスをユッカ・ラシライネン、ティトゥレルを上記A・コルンが歌います。
そして「指環」、ティーレマン二年目はシュトルックマンがヴォータンを降り、アルベルト・ドーメンになるのが最大の変更点。シュトルックマンではないのは残念ですが、代わりが経験豊富なドーメンならばちと聴いてみたいというのが正直な印象。
個人的に嬉しいのはイルキ・コルホネンの寸詰まりなファーフナーに代わり、ついにハンス=ペーター・ケーニヒが巨人を歌うこと。ストックホルムの「ラインゴールド」での美しく力強いファーゾルトが忘れられず、去年「なんでハーゲンだけやねん!」と不満(でもハーゲン役には満足)でしたが、これは朗報です。クワンチュル・ユンのファーゾルトと併せ、これは近年最高のコンビになるのでは。
残念なのはイレーネ・テオリンがヴァルキューレから消えること。ゆくゆくはここでブリュンヒルデをと、期待していたんですが。
ほか「指環」では「黄昏」のグンターをマルコ=ブールメスターに代わりラルフ・ルーカスがドンナーと併せ歌うくらいが、大きな変更でしょうか。
更に音楽が深化するであろうティーレマンの二年目、今から楽しみです。

クリングゾルのカルステン・メヴェス
2007.02.10
明後日のNHK-BS2
http://cgi4.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2007-02-12&ch=12&eid=8844
明後日2月12日のNHK-BS2は、N響の過去の名演奏から名誉指揮者特集を5時間に渡って組むようです。N響の映像によるアーカイヴ放送はそれほどなく、たまに地上波のN響アワーで断片的に放送されるだけなので、今回の放送は貴重といえるでしょう。
ただし、番組表を見ると物故・引退した指揮者に限っているようで、ブロムシュテットの名前は見当たりません(残念)。
ソリスト的にはサヴァリッシュの「エリヤ」は2001年ではなく1986年のN響1000回記念定期からのもののようです。在りし日のルチア・ポップが映像で見られるのは楽しみ。シュタインも「タンホイザー」の序曲とバッカナールは注目。ドヴォ8はかなり名演だった記憶があるので全曲やって欲しかったところですね。
明後日2月12日のNHK-BS2は、N響の過去の名演奏から名誉指揮者特集を5時間に渡って組むようです。N響の映像によるアーカイヴ放送はそれほどなく、たまに地上波のN響アワーで断片的に放送されるだけなので、今回の放送は貴重といえるでしょう。
ただし、番組表を見ると物故・引退した指揮者に限っているようで、ブロムシュテットの名前は見当たりません(残念)。
ソリスト的にはサヴァリッシュの「エリヤ」は2001年ではなく1986年のN響1000回記念定期からのもののようです。在りし日のルチア・ポップが映像で見られるのは楽しみ。シュタインも「タンホイザー」の序曲とバッカナールは注目。ドヴォ8はかなり名演だった記憶があるので全曲やって欲しかったところですね。
2007.02.04
「プロフェッショナル 仕事の流儀」 大野和士と「トリスタン」
先日録画していたのをようやく見ました。大野は以前から気になっていたひとで、去年の新日本フィルとのショスタコーヴィチ4番で完全に打ちのめされました。
東フィル以降の海外での活躍は、ネットラジオでよく流れており、モネ劇場とのいくつかのものが印象深いです。
番組で印象的だったのは、スタジオでピアノに向かって「椿姫」の前奏曲を弾いたとき。弾きながら彼の解釈の一端を披露していたのですが、このときの熱く語る陶酔的な表情がただただ忘れられません。衝撃さえ受けました。「作曲家と対話する」という言葉も、この表情があったればこそ、納得できました。
で、この番組を見て秋から楽しみに取っておいたモネとの「トリスタン」(Musiq3)を聴くことに。トリスタンのジョン・キイズ(ケイズ)は、以前紹介したヘンヒェン指揮オランダ・リングのジークムントも歌っていたので初役とは気付きませんでした。
すっかり忘れていたのですが、番組中でイゾルデ降板と聞き、驚いて調べてみると初日のみキルシ・ティーホネンというフィンランド人歌手が歌っていたようです。放送はプレミエから十数日後のものでしたから、イゾルデ役も復帰していたのでそんなことがあったのかとちょっとびっくり。当初予定されていたイレーネ・テオリンは、ビルギット・ニルソンに師事した売り出し中の歌手で、昨春コペンハーゲン・リングでブリュンヒルデを歌っており、バイロイトにもすでに登場しています。ニルソン譲りの冷たい底響きのする歌手で、これからが楽しみなひと。個人的にも非常に期待しています。
聴き始めるとこの「トリスタン」、編成のせいなのか会場のせいなのか、若干オケが薄く感じます。昨春大野指揮モネで放送された「オランダ人」のときも同じように感じたので、私が普段バイロイトの音を聴き慣れているためかもしれませんが。この劇場の監督だったパッパーノが、数年前の「パルジファル」の上演時、バイロイトの音に近づかせるために「覆い」を被せたなんて報道があったことが思い出されます。しかし聴き進むにつれそんなことはどうでもよくなり、大野の熱っぽい指揮に引き込まれていきました。
大野の音楽は動的で、弛緩せずにうねり続けます。第一幕の最後の部分の処理などもスマートで実に素晴らしいし、第二幕の二重唱など絶えず音楽が揺れ動き、凄いのひとこと。響きが薄いのも徐々にプラスに作用し、見通しがよく聴こえ、ドロドロした恋愛劇とは一線を画す感じです。その上で「愛の死」などにおけるある種の響きの「ほの暗さ」などが、逆に深い表現で活きています。情愛にのめりこむ二人の「儚さ」に焦点を当てているかのように感じました。
東フィル以降の海外での活躍は、ネットラジオでよく流れており、モネ劇場とのいくつかのものが印象深いです。
番組で印象的だったのは、スタジオでピアノに向かって「椿姫」の前奏曲を弾いたとき。弾きながら彼の解釈の一端を披露していたのですが、このときの熱く語る陶酔的な表情がただただ忘れられません。衝撃さえ受けました。「作曲家と対話する」という言葉も、この表情があったればこそ、納得できました。
で、この番組を見て秋から楽しみに取っておいたモネとの「トリスタン」(Musiq3)を聴くことに。トリスタンのジョン・キイズ(ケイズ)は、以前紹介したヘンヒェン指揮オランダ・リングのジークムントも歌っていたので初役とは気付きませんでした。
すっかり忘れていたのですが、番組中でイゾルデ降板と聞き、驚いて調べてみると初日のみキルシ・ティーホネンというフィンランド人歌手が歌っていたようです。放送はプレミエから十数日後のものでしたから、イゾルデ役も復帰していたのでそんなことがあったのかとちょっとびっくり。当初予定されていたイレーネ・テオリンは、ビルギット・ニルソンに師事した売り出し中の歌手で、昨春コペンハーゲン・リングでブリュンヒルデを歌っており、バイロイトにもすでに登場しています。ニルソン譲りの冷たい底響きのする歌手で、これからが楽しみなひと。個人的にも非常に期待しています。
聴き始めるとこの「トリスタン」、編成のせいなのか会場のせいなのか、若干オケが薄く感じます。昨春大野指揮モネで放送された「オランダ人」のときも同じように感じたので、私が普段バイロイトの音を聴き慣れているためかもしれませんが。この劇場の監督だったパッパーノが、数年前の「パルジファル」の上演時、バイロイトの音に近づかせるために「覆い」を被せたなんて報道があったことが思い出されます。しかし聴き進むにつれそんなことはどうでもよくなり、大野の熱っぽい指揮に引き込まれていきました。
大野の音楽は動的で、弛緩せずにうねり続けます。第一幕の最後の部分の処理などもスマートで実に素晴らしいし、第二幕の二重唱など絶えず音楽が揺れ動き、凄いのひとこと。響きが薄いのも徐々にプラスに作用し、見通しがよく聴こえ、ドロドロした恋愛劇とは一線を画す感じです。その上で「愛の死」などにおけるある種の響きの「ほの暗さ」などが、逆に深い表現で活きています。情愛にのめりこむ二人の「儚さ」に焦点を当てているかのように感じました。
2007.01.28
マンフレート・ホーネック、ピッツバーグ響へ

http://www.ks-gasteig.de/fileadmin/daten/pdf/Pressemldung_MH_e.pdf
スウェーデン放送響の音楽監督を退任したマンフレート・ホーネックの次の着任地が、ピッツバーグ交響楽団となったようです。来年からの契約となる模様。
記事やほかの報道によると、前首席のマリス・ヤンソンス以来アンドルー・デイヴィス、ヤン・パスカル・トゥルトリエ、マレク・ヤノフスキの三頭体制だったオケには朗報のようです。ヤンソンスも推薦のコメントを出しています。
ネットラジオだと、現状地元ピッツバーグのWQEDはまだ音質も悪いので、KUATやWDAVなど、ほかの高音質局でピッツバーグ響の演奏会シリーズが流れるのを待つしかないでしょう。今季は客演時のチャイコフスキー5番などの演奏会が初夏以降には流れると思います。
感覚としては、スウェーデンなどでよく接していたこの名指揮者が、ちと離れていくような感じではありますが、欧州への客演(と放送)も減らないようにしてもらいたいものです。
2006.12.23
年末のワーグナー
これまで年末というと、NHK-FMのバイロイトの放送が恒例だった私ですが、いまやほぼリアルタイムで夏季にネットラジオでバイロイト・ライヴが聴けるようになった現状では、ただひたすらにその年のネットラジオの音源整理に追われる時間になってきました。
まあ別に年末だから整理できる量でもないし、まとまった時間といってもせいぜい数日だけですから、諦めてついついほかのことに流れてしまいます。ダメ人間ですねえ。
で、今年に入って購入したものの、デッキに入れてさえいなかったものの消化に充てることに。いずれもラインの黄金なんですが、私がどのオペラよりも偏愛するのがこの序夜。普段聴く頻度もライン5、ヴァルキューレ1、ジークフリート2、黄昏2くらいの割合なのです。

ヨーゼフ・カイルベルト指揮バイロイト祝祭管弦楽団
ハンス・ホッター(ヴォータン)
ルドルフ・ルスティヒ(ローゲ)
トニ・ブランケンハイム(ドンナー)
ヨーゼフ・トラクセル(フロー)
グスタフ・ナイトリンガー(アルベリヒ)
パウル・クーエン(ミーメ)
ルートヴィヒ・ヴェーバー(ファーゾルト)
ヨーゼフ・グラインドル(ファーフナー)
ゲオルギーネ・フォン・ミリンコヴィチ(フリッカ)
ヘルタ・ヴィルフェルト(フライア)
マリア・フォン・イロシュファイ(エールダ)
ユッタ・ヴルピウス(ヴォークリンデ)
エリーザベト・シェルテル(ヴェルグンデ)
マリア・グラフ(フロースヒルデ)
1955年7月24日、バイロイト祝祭劇場。
「ジークフリート」だけ購入して、「ヴァルキューレ」と「黄昏」はまだ未購入。
「ラインの黄金」は、出てすぐに購入しました。
この文字通り復刻された55年の「指環」で、最も聴きたかったのが、ルドルフ・ルスティヒのローゲです。54年と55年の二年、ローゲを歌っていますが、ようやく聴けました。
やはり、キャラクターテノールではなく、どちらかといえばヘルデン系の声のひとのようです。いまいち個性に欠けるローゲ。声に魅力もなく、性格表現も粗く、声のコントロールももうひとつで、中途半端。ヘルデン系のローゲでは、いまだにルートヴィヒ・ズートハウスの強烈なローゲが群を抜いています。ヴィントガッセンも素晴らしいけれども、ローゲで聴きたいひとではありません。
この演奏では、ホッターのまさに神々しいヴォータンが、やはり最も感銘深いです。ステレオの管弦楽伴奏で歌い上げるヴァルハラへの入場の場面など、この甦った録音で一番の聴き所です。
ほかの歌い手も悪くありませんが、ナイトリンガー、イロシュファイなどには、まだほかに素晴らしい歌唱の年がありました。ずば抜けていいのは、ヴェーバーとグラインドルの巨人族。ここまで両者の違いを明白にした演奏は、そうないでしょう。ファーゾルト殺害の場面の緊張感などは戦慄ものです。ヴェーバーもオケとずれる箇所がありますが、貫禄の歌唱といえます。グラインドルも、「黄金のりんご」のあたりは老熟して実に邪悪風味な1958年盤に譲りますが、息の長い名唱。
総じて、この年代でこれだけの録音の素晴らしさには感動しますし、「指環」マニアには絶対に「買い」でしょうが、それ以上でもそれ以下でもないといったところ。「指環」上演の難しさ、でしょうか。

ハルトムート・ヘンヒェン指揮ハーグ・レジデンティ管弦楽団
ヨーン・ブレッヒラー(ヴォータン)
クリス・メリット(ローゲ)
アルベルト・ボンネマ(ドンナー)
ユルゲン・フライアー(フロー)
ヘンク・スミット(アルベリヒ)
グレアム・クラーク(ミーメ)
ペテル・ミクラーシュ(ファーゾルト)
カルステン・スターベル(ファーフナー)
ラインヒルト・ルンケル(フリッカ)
カローラ・ヘーン(フライア)
アンネ・ギーヴァンク(エールダ)
ガブリエーレ・フォンタナ(ヴォークリンデ)
ハンナ・シャー(ヴェルグンデ)
キャサリン・キーン(フロースヒルデ)
1999年、アムステルダム、音楽劇場。
このDVDは掘り出し物でした。全曲DVDで一万円切っていた価格にまず驚き。演奏が思ったよりもよいし、なによりしっかりとしたライヴ収録なのが安心できます。
私は多くのワグネリアンとは違い、演出についてはほとんど無頓着ですが、こうしたセミ・ステージ上演は面白いと思います。オケがむき出しなので、出てくる音も実にクリア。
歌手では、期待していたロッシーニ・テノール、クリス・メリットのローゲがほかを圧して見事。やはり息の長さ、声量、性格表現の巧みさと、格が違います。リリック系のローゲとしては、ミュンヘン・リングのロバート・ティアーも大変な名演で、なぜか二人ともスキンヘッドなのも一緒。
また、1980年代のバイロイト・リングのエールダ役―すなわちピーター・ホール+ショルティ/P・シュナイダーとクプファー+バレンボイム―を、ほとんど一手に担ったアンネ・ギーヴァンクの深いアルトの絶唱が素晴らしく、1950年代のバイロイトでも理想的ではなかったこの役の、最高に近い歌が聴けます。
実際この二人でもうお腹一杯。ほかの歌手陣は肝心のところで息の短さが目立ち、まあまあでしょうか。ブレッヒラーのヴォータンは、見た目はよいものの、声がやや軽くもうひとつ。スミットのアルベリヒはそこそこの好演。巨人の二人は、FMやネットラジオで贔屓のひとたちなので、採点は甘くなってしまいます。特にチェコのミクラーシュがよい。
管弦楽は、上にも書いた通りステージ上に出張っているせいか、普段聴こえない声部が聴こえてくるのが新鮮です。指揮のヘンヒェンはあまり好きなひとではありませんでしたが、なかなかドラマティックな音楽で、聴かせます。ある箇所の処理など、ミュンヘンのサヴァリッシュを髣髴とさせてくれるところもありました。
しかし「ヴァルキューレ」以降見れるのはいつになることやら・・・。
まあ別に年末だから整理できる量でもないし、まとまった時間といってもせいぜい数日だけですから、諦めてついついほかのことに流れてしまいます。ダメ人間ですねえ。
で、今年に入って購入したものの、デッキに入れてさえいなかったものの消化に充てることに。いずれもラインの黄金なんですが、私がどのオペラよりも偏愛するのがこの序夜。普段聴く頻度もライン5、ヴァルキューレ1、ジークフリート2、黄昏2くらいの割合なのです。

ヨーゼフ・カイルベルト指揮バイロイト祝祭管弦楽団
ハンス・ホッター(ヴォータン)
ルドルフ・ルスティヒ(ローゲ)
トニ・ブランケンハイム(ドンナー)
ヨーゼフ・トラクセル(フロー)
グスタフ・ナイトリンガー(アルベリヒ)
パウル・クーエン(ミーメ)
ルートヴィヒ・ヴェーバー(ファーゾルト)
ヨーゼフ・グラインドル(ファーフナー)
ゲオルギーネ・フォン・ミリンコヴィチ(フリッカ)
ヘルタ・ヴィルフェルト(フライア)
マリア・フォン・イロシュファイ(エールダ)
ユッタ・ヴルピウス(ヴォークリンデ)
エリーザベト・シェルテル(ヴェルグンデ)
マリア・グラフ(フロースヒルデ)
1955年7月24日、バイロイト祝祭劇場。
「ジークフリート」だけ購入して、「ヴァルキューレ」と「黄昏」はまだ未購入。
「ラインの黄金」は、出てすぐに購入しました。
この文字通り復刻された55年の「指環」で、最も聴きたかったのが、ルドルフ・ルスティヒのローゲです。54年と55年の二年、ローゲを歌っていますが、ようやく聴けました。
やはり、キャラクターテノールではなく、どちらかといえばヘルデン系の声のひとのようです。いまいち個性に欠けるローゲ。声に魅力もなく、性格表現も粗く、声のコントロールももうひとつで、中途半端。ヘルデン系のローゲでは、いまだにルートヴィヒ・ズートハウスの強烈なローゲが群を抜いています。ヴィントガッセンも素晴らしいけれども、ローゲで聴きたいひとではありません。
この演奏では、ホッターのまさに神々しいヴォータンが、やはり最も感銘深いです。ステレオの管弦楽伴奏で歌い上げるヴァルハラへの入場の場面など、この甦った録音で一番の聴き所です。
ほかの歌い手も悪くありませんが、ナイトリンガー、イロシュファイなどには、まだほかに素晴らしい歌唱の年がありました。ずば抜けていいのは、ヴェーバーとグラインドルの巨人族。ここまで両者の違いを明白にした演奏は、そうないでしょう。ファーゾルト殺害の場面の緊張感などは戦慄ものです。ヴェーバーもオケとずれる箇所がありますが、貫禄の歌唱といえます。グラインドルも、「黄金のりんご」のあたりは老熟して実に邪悪風味な1958年盤に譲りますが、息の長い名唱。
総じて、この年代でこれだけの録音の素晴らしさには感動しますし、「指環」マニアには絶対に「買い」でしょうが、それ以上でもそれ以下でもないといったところ。「指環」上演の難しさ、でしょうか。

ハルトムート・ヘンヒェン指揮ハーグ・レジデンティ管弦楽団
ヨーン・ブレッヒラー(ヴォータン)
クリス・メリット(ローゲ)
アルベルト・ボンネマ(ドンナー)
ユルゲン・フライアー(フロー)
ヘンク・スミット(アルベリヒ)
グレアム・クラーク(ミーメ)
ペテル・ミクラーシュ(ファーゾルト)
カルステン・スターベル(ファーフナー)
ラインヒルト・ルンケル(フリッカ)
カローラ・ヘーン(フライア)
アンネ・ギーヴァンク(エールダ)
ガブリエーレ・フォンタナ(ヴォークリンデ)
ハンナ・シャー(ヴェルグンデ)
キャサリン・キーン(フロースヒルデ)
1999年、アムステルダム、音楽劇場。
このDVDは掘り出し物でした。全曲DVDで一万円切っていた価格にまず驚き。演奏が思ったよりもよいし、なによりしっかりとしたライヴ収録なのが安心できます。
私は多くのワグネリアンとは違い、演出についてはほとんど無頓着ですが、こうしたセミ・ステージ上演は面白いと思います。オケがむき出しなので、出てくる音も実にクリア。
歌手では、期待していたロッシーニ・テノール、クリス・メリットのローゲがほかを圧して見事。やはり息の長さ、声量、性格表現の巧みさと、格が違います。リリック系のローゲとしては、ミュンヘン・リングのロバート・ティアーも大変な名演で、なぜか二人ともスキンヘッドなのも一緒。
また、1980年代のバイロイト・リングのエールダ役―すなわちピーター・ホール+ショルティ/P・シュナイダーとクプファー+バレンボイム―を、ほとんど一手に担ったアンネ・ギーヴァンクの深いアルトの絶唱が素晴らしく、1950年代のバイロイトでも理想的ではなかったこの役の、最高に近い歌が聴けます。
実際この二人でもうお腹一杯。ほかの歌手陣は肝心のところで息の短さが目立ち、まあまあでしょうか。ブレッヒラーのヴォータンは、見た目はよいものの、声がやや軽くもうひとつ。スミットのアルベリヒはそこそこの好演。巨人の二人は、FMやネットラジオで贔屓のひとたちなので、採点は甘くなってしまいます。特にチェコのミクラーシュがよい。
管弦楽は、上にも書いた通りステージ上に出張っているせいか、普段聴こえない声部が聴こえてくるのが新鮮です。指揮のヘンヒェンはあまり好きなひとではありませんでしたが、なかなかドラマティックな音楽で、聴かせます。ある箇所の処理など、ミュンヘンのサヴァリッシュを髣髴とさせてくれるところもありました。
しかし「ヴァルキューレ」以降見れるのはいつになることやら・・・。
2006.11.24
モーストリー・クラシックの小冊子
ネットラジオ局の先の予定も局によってさまざまです。
二ヶ月ほど先の予定も分かる局もあれば、一週間後までしか分からない局もあります。これらをいちいちweb上で調べるのもwiki書き込み人としては愉しくかつ面倒なのですが、ある程度慣れてくると、大体番組表の更新パターンも見えてきます。それはほかの記事に譲るとして、ここでは紙媒体について述べます。
「モーストリー・クラシック」という雑誌はご存知でしょうか?
この付録の「プチ・モス」という小冊子に、数ヶ月後の世界の大都市の予定が載っているのです。
これは重宝しています。一発で大都市の演奏会予定がホールごとに一覧できるのですから。
もう創刊(98年ごろ)から集めてスクラップしていますが、意外やネットラジオで活躍するとは思いもよりませんでした。
放送局によっては、演奏会データを詳しく紹介していないところ(特にオーストラリアABC)があります。放送してくれるのはいいんですが、聴き手としてはいつどこで演奏されたのかも知りたいところ。直近(2〜3年くらい?)ならばググれば大体分かるのですが、その前ともなると、もうweb上では分からないケースも多いのです。
そこでこの「プチ・モス」の記事。
このお陰でなんどか演奏会データを知る足掛かりができました。たとえば9月にABCでショスタコーヴィチの生誕百年を記念した交響曲全曲放送があったのですが、ロジェストヴェンスキーとオランダ放送フィルの12番が予定されています。ググっても全然分かりません。「プチ・モス」を遡ってみると2002年の演奏会予定にありました。
そういう訳で、この「プチ・モス」、あなどれません。もう本体記事は一切読まずに2年ほどになりますが、この小冊子のためだけに毎月欠かさず買っています。
惜しいのはシュトゥットガルト(最近載り始めたが歌劇場だけ)や、コペンハーゲンやストックホルム、オスロなど北欧地区がないことでしょうか。
二ヶ月ほど先の予定も分かる局もあれば、一週間後までしか分からない局もあります。これらをいちいちweb上で調べるのもwiki書き込み人としては愉しくかつ面倒なのですが、ある程度慣れてくると、大体番組表の更新パターンも見えてきます。それはほかの記事に譲るとして、ここでは紙媒体について述べます。
「モーストリー・クラシック」という雑誌はご存知でしょうか?
この付録の「プチ・モス」という小冊子に、数ヶ月後の世界の大都市の予定が載っているのです。
これは重宝しています。一発で大都市の演奏会予定がホールごとに一覧できるのですから。
もう創刊(98年ごろ)から集めてスクラップしていますが、意外やネットラジオで活躍するとは思いもよりませんでした。
放送局によっては、演奏会データを詳しく紹介していないところ(特にオーストラリアABC)があります。放送してくれるのはいいんですが、聴き手としてはいつどこで演奏されたのかも知りたいところ。直近(2〜3年くらい?)ならばググれば大体分かるのですが、その前ともなると、もうweb上では分からないケースも多いのです。
そこでこの「プチ・モス」の記事。
このお陰でなんどか演奏会データを知る足掛かりができました。たとえば9月にABCでショスタコーヴィチの生誕百年を記念した交響曲全曲放送があったのですが、ロジェストヴェンスキーとオランダ放送フィルの12番が予定されています。ググっても全然分かりません。「プチ・モス」を遡ってみると2002年の演奏会予定にありました。
そういう訳で、この「プチ・モス」、あなどれません。もう本体記事は一切読まずに2年ほどになりますが、この小冊子のためだけに毎月欠かさず買っています。
惜しいのはシュトゥットガルト(最近載り始めたが歌劇場だけ)や、コペンハーゲンやストックホルム、オスロなど北欧地区がないことでしょうか。
2006.11.18
新グローヴオペラ事典

購入しました。今月はCD買えません。
wiki番組表を書き込んでいると、各国語表記に対応しなければいけない上、たとえば演奏会のプログラムでのオペラアリアの日本語訳の問題や、それほど有名ではないオペラの配役名表記の問題が出てきたりして、それを調べるためのweb上での検索が困難を極めます。ヴェルディとかプッチーニ、モーツァルトとかメジャーどころならまだしも、ロッシーニとかベッリーニ辺りになっちゃうと意外と情報がないんですよ。
そこで一念発起。
読んでみると英国的視点による記事が面白いです。以前出た音楽事典の方も歌手の記事目当てでいろいろ読みましたが、ゲルハルト・シュトルツェがコヴェント・ガーデンで「真夏の夜の夢」のオーベロン歌っているとか、ドメスティックな記述がほんと知識欲をかきたてたもんですが、オペラ事典の方もマッケラスのお陰かヤナーチェクが異様に充実していたり、ヴァージル・トムソンとかマイケル・W・バレフなど英国人のオペラが優遇されていたりで、なかなかよい。
ただし、ファリャの「はかなき人生」やマスカーニの「友人フリッツ」、ヴォルフ=フェラーリの黙殺なんかは残念ですね。アイスラーとかシュレーカーとか、退廃音楽系もそれほどではありませんし。
まあ、これでwikiのオペラは(時間さえあれば)とりあえず問題ないでしょう。

