2008.03.22
バイエルン放送もついに高音質化
バイエルン放送Bayern4 Klassikがついに128kbpsでの高音質配信を始めた模様です。番組表はこちら。
番組表はほぼ一週間ごと、19:05からの"Konzert"が主なライヴ枠で、バイエルン放送響の定期やツアーなどが大体フォローされることになるでしょう。まあほかの放送局で結構バイエルンの放送は流れていましたから、そのコンテンツそのものに新味はないと思います。ただ、速報性が増すのと、なかなか他局でやらないバンベルク響の放送の可能性が高いのが大きな注目点でしょう。
また、バイロイト音楽祭もここが親局ですから、高音質化の意義は高いでしょう。まあBartokRadioでもっと高音質で聴くことも出来ます(但しナマだとアクセスが集中するのか接続不良もあり)し、NRKやNDRでは、収録ながら近年はBayern4のアナウンスのみで放送してくれるので、128kbpsでの高音質化ならば放送そのものの意味はそうないとも言えますが。
ナマだとBartokのように不測の音飛びに見舞われたりするので、個人的には速報性を犠牲にしてでも収録で構わないのですが(ベストは2年前のBartokの半日後タイムシフト中継)、今年はまだ各局ナマなのかどうか分明でないので、Bayern4の音質アップはアクセス分散という意味でも歓迎すべきところです。
とりあえず昨夜のマリス・ヤンソンスとバイエルン放送響のハイドン104番とブルックナー7番をざっくり聴いてみましたが、.wmaの128kbpsだと音も落ち着いていてなかなかよいですね。ただ左右逆な感じですが・・・。
番組表はほぼ一週間ごと、19:05からの"Konzert"が主なライヴ枠で、バイエルン放送響の定期やツアーなどが大体フォローされることになるでしょう。まあほかの放送局で結構バイエルンの放送は流れていましたから、そのコンテンツそのものに新味はないと思います。ただ、速報性が増すのと、なかなか他局でやらないバンベルク響の放送の可能性が高いのが大きな注目点でしょう。
また、バイロイト音楽祭もここが親局ですから、高音質化の意義は高いでしょう。まあBartokRadioでもっと高音質で聴くことも出来ます(但しナマだとアクセスが集中するのか接続不良もあり)し、NRKやNDRでは、収録ながら近年はBayern4のアナウンスのみで放送してくれるので、128kbpsでの高音質化ならば放送そのものの意味はそうないとも言えますが。
ナマだとBartokのように不測の音飛びに見舞われたりするので、個人的には速報性を犠牲にしてでも収録で構わないのですが(ベストは2年前のBartokの半日後タイムシフト中継)、今年はまだ各局ナマなのかどうか分明でないので、Bayern4の音質アップはアクセス分散という意味でも歓迎すべきところです。
とりあえず昨夜のマリス・ヤンソンスとバイエルン放送響のハイドン104番とブルックナー7番をざっくり聴いてみましたが、.wmaの128kbpsだと音も落ち着いていてなかなかよいですね。ただ左右逆な感じですが・・・。
2008.03.10
デンマーク国立放送響の新シーズン

デンマーク国立放送交響楽団の2008-09シーズン・プログラムが発表されました。
デンマーク国立放送響の演奏会は、そのほとんどを親局のDR_P2で聴くことが出来ます。定期は完全生中継で、特別演奏会や演奏旅行は収録の場合もあります。
現在は定期を一旦お休みしての欧州ツアー(ウィーン、グラーツ、パリなど)が放送されています。
注目の新シーズンは、首席指揮者トマス・ダウスゴーの指揮による8月末の定期(ストラヴィンスキー/かるた遊び、メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲―テツラフ、ブラームス/交響曲第1番)で幕を開けます。
客演指揮者はほぼ今シーズンと同じ顔ぶれで、トマス・センデゴー(デンマークの若手で注目株です)、ヴラディーミル・ユロフスキ、フリューベック・デ・ブルゴス、レイフ・セーゲルスタム、ヨン・ストルゴールズ、ヘルベルト・ブロムシュテット(10月と2月の二度)、トン・コープマン、ミーシャ・マイスキーの弾き振り、マレク・ヤノフスキ、前首席のミヒャエル・シェーンヴァント、クリストフ・ポッペン、イオン・マリン、アンドラーシュ・シフ、首席客演指揮者ユーリ・テミルカーノフと、壮観なメンバー。
さらに秋の特別演奏会をヤープ・ファン・ズヴェーデンが振ります。
ユロフスキやポッペン、マリンらは初登場ではないでしょうか。
首席客演のテミルカーノフは一度だけなのに、ブロムシュテットは今季同様二回登場します。ひとつはブラームス・プロで、最近よくやる管弦楽伴奏付き合唱曲3曲と交響曲第4番。それに「第九」です。
プログラミングで特徴的なのは、かなり名曲路線だな、ということ。
例年よりも現代作曲家の作品が少ないような気もします。
また、合唱付き大曲が多いのも来シーズンの大きな特色で、マーラー2番(ダウスゴー)、8番(マリン)や「カルミナ・ブラーナ」(セーゲルスタム)、「ドイツ・レクイエム」(A・シフ)、ベートーヴェン「第九」。
マーラーも集中的に取り上げられ上記のほか「大地の歌」、5番(いずれもダウスゴー)とあるようです。
個人的に気になるのは、ブロムシュテットとワーグナーの管弦楽曲集を振るヤノフスキは当然として、2年前のショスタコーヴィチ生誕100年の連続演奏会で、鮮烈な11番の名演を聴かせた俊英センデゴーの振る交響曲第1番ほか、セーゲルスタムの「カルミナ」もかなり楽しみです。
2008.03.01
FranceMusiqueアーカイヴ;3月の予定

イーゴリ・マルケヴィチ
フランス国立放送FranceMusiqueの毎週水曜夜(日本時間木曜未明)のアーカイヴ放送''C'était hier''(「それは昨日」とかそういう意味か・・・?)ですが、こちらのページで向こう一ヶ月の予定が出ているのを発見しました。
3月5日(いずれも現地時間)は既に番組表も出ていますが、ポーランドの作曲家、ユゼフ・ジグムンド・シュルツ(1875-1956)の1934年作のオペラ「マンドリン」の1954年の上演がロジェ・エリスの指揮、フランス放送リリック管弦楽団の演奏で放送されます。
シュルツのなにがフランスと関係あるのかといえば、ワルシャワ音楽院を卒業した後にパリでマスネに師事し、当地で歌曲やタンゴなど、主に軽音楽的な分野で活躍したということのようです。
12日には当月のハイライト、イーゴリ・マルケヴィチの登場。
「古典交響曲」、「ジークフリート牧歌」にコダーイの「ハンガリー詩篇」(独唱ヘフリガー)、それにクラウディオ・アラウとのブラームスのピアノ協奏曲第2番が予定されています。
このアラウとのブラームスは、ローザンヌ音楽祭に出演した際のボーリュー劇場における演奏が既にINAからCD化されています。これが実に重厚で巨大な名演で、アラウの濃厚な節回しと煽るマルケヴィチの指揮が、まさにがっぷり四つに渡り合って強烈です。第2楽章後半の燃焼振りは異常なほど。放送の演奏も同じかと思ったら、ローザンヌが1976年6月10日、今回の放送は6月18日となっていますので、違う可能性が大。ツアー後のシャンゼリゼ劇場でのライヴ、ということでしょうか。
19日は、モノラル期に主に活躍したフランスの名匠、ジョルジュ・ツィピーヌ(1907-1987)。
音楽之友社から出ていた「指揮者のすべて」というムック本によると、ステレオ時代にはパリ音楽院の教職にあったためにほとんど活動していないとのことですが、放送されるのは1960年代から70年代前半のもの。おそらく上記ムックの件は、公式の録音のことなのでしょう。少なくともフランス国内の演奏会では活動していたことが分かります。
曲はやはりご当地ものですが、これがまた渋い。オネゲルの交響曲第5番、早世したジャン・アラン(1911-1940)のオルガン曲を、パリ音楽院長を務めたレイモン・ガロワ=モンブラン(1918-)が編曲した「三つの舞曲」、フォーレの愛弟子ジャン・ロジェ=デュカス(1873-1954)の「フランス組曲」、ロジェ・カルメ(1920-1998)の「オルガン、弦楽と打楽器のための協奏曲」、締めにルーセルの最初のオペラ「パドマーヴァティ」(1914〜18)の抜粋。それもリタ・ゴール(!)、ジョセリーン・タイヨン、エリック・タピー、ロベール・マッサールにミシェル・セネシャルという豪華布陣。
こうして見るとわれわれが普段聴いているフランス音楽が、ほんの僅かな傑作だけなのかが分かろうというもので、このアーカイヴ放送が演奏家だけのものではないこともよく分かります。実に意義深い。
そして3月最終週の26日には、なんと我等が小泉和裕の登場です。
フランス国立放送フィルを振った1974年と75年の二つのコンサートから、グリンカの「カマリンスカヤ」、1957年のジュネーヴ音楽コンクールでアルゲリチと共に一位に選ばれた、知る人ぞ知る大ピアニスト、ドミニク・メルレとのフランク「交響的変奏曲」とプロコフィエフのピアノ協奏曲第1番、それにドビュッシーの「牧神」とチャイコフスキーの交響曲第4番。
小泉が第3回カラヤン・コンクールで一位に輝いたのが1973年11月で、その後欧米のメジャー・オケに頻繁に客演していますから、ちょうどそのときの録音になる訳です。手持ちのエアチェックにもベルリン・フィルを振った同時期の「牧神」とラフマニノフの「パガニーニ変奏曲」(独奏オロスコ)、「オルガン付」が確かあったはず。これを機会に聴き直してみたいと思います。
また、ストの影響で中止となった、ハンス・シュミット=イッセルシュテットの放送も、ちと先ですが4月30日に無事行われるようです。

小泉和裕
2008.02.26
クリストフ・フォン・ドホナーニのこと

迂闊にも最近気付いて驚いたのですが、クリストフ・フォン・ドホナーニってもう80歳に近いんですね(1929年9月8日生まれ)。
実はドホナーニは、FMエアチェック時代はほとんど放送のなかったひとです。
経歴を見ても、ケルン放送響の首席が1960年代であまりにも古過ぎるし、後のフランクフルトやハンブルク歌劇場のポストでは、NHK-FMなどで取り上げられることはまずもってありません。
そして1984年から、在任期間を見ても蜜月と言っていいクリーヴランド管の音楽監督に就任する訳ですが、アメリカのオケはNHKはまったくやってくれず、FM横浜の方でもボストンがほとんど(若干クリーヴランドもありましたがほんのちょっと)だったので、スタジオセッションを除けばドホナーニの演奏は聴く機会自体がなかったのです。
余談ですが、1990年だったか、マズアがゲヴァントハウスと来日して、随分小粒な響きのベートーヴェンの交響曲全曲演奏会を持ちました(レオンスカヤとの皇帝等も含む)。これはBSで中継されました。
その二、三年後に同じツィクルスをドホナーニとクリーヴランドも取り上げたので、こちらとしては相当身構えて放送を期待したのに映像はおろかFMでの音さえ一切ナシ。このときはまあ、この指揮者とは縁がないんだなあと、ほぼ諦めの境地になったものです。
NHK-FMで放送された彼の演奏といえば、近年を除くとそれくらい、ほんの数えるほどしかないのです。
1974年のマーラー「巨人」ほか(ベルリン・フィル)、1980年代前半の「ツァラトゥストラ」とシュニトケの合奏協奏曲(ベルリン・フィル)、1988年のウィーン芸術週間におけるチャイコフスキー4番ほか(ウィーン・フィル)、あといくつか。なんという仕打ちでしょう。NHK-FMの海外ライヴ編成担当が嫌っていたとしか思えません。
今でこそクリーヴランドとのライヴ集成がCD自主制作盤で手に入り、ドイツへ復帰し天下のNDRの音楽監督ですから、前のエントリーのヤノフスキ並にバンバン放送が聴ける現状(ネットラジオでです)なのはとてもありがたいのですが、やはりFM時代から付き合ってきたという思い入れがない御仁ゆえに、はじめはサラッと聞き流す程度でした。
音楽の印象もそれほど熱が感じられず、さくさく進んではい終了、程度の認識。
ところが、これが間違いでした。それに気付いたのがこれまた迂闊にも今朝のNDRの放送です。
プログラムはブラームスのピアノ四重奏曲、シェーンベルク編曲管弦楽版とフランク・ペーター・ツィンマーマンとのベートーヴェンの協奏曲だったのですが、これが実に素晴らしかった。
ブラームスは1〜4番の交響曲以上に偏愛している曲で、放送頻度は少ないもののライヴでは名演が多い曲です。ラトル、ラインスドルフ、プリッチャード、エッシェンバッハ、ツェンダーなど、どれも記憶に残る演奏でした。
ドホナーニの演奏はドライな印象、と述べましたがいやはやそんなことはなく、音色の描き分けが見事な上に、細かい起伏を丹念に積み重ねて終楽章コーダで一気に爆発させる手際には本当に驚かされました。
後半のベートーヴェンも、素晴らしくよく歌うツィンマーマンに寄り添うように付けながらも、強奏の迫力は圧倒的な力を持って響き渡るのにもかかわらず実に柔らかく聴こえ美しく、さらにツィンマーマンがそれを巧みに受けタップリと歌い込んで行くという、美の連鎖がどんどん重なって行くような、まさに魅惑的な名演奏でした。
ブラームスの編曲版の演奏は、FranceMusiqueが高音質化した直後に流れたパリ国立歌劇場のオケとのものも聴けますが、これも大変な名演です。
NDRと違い客演なので他流試合的な面白さがあるのに加え、オケの音色の派手さが実にこの曲の編曲的な側面とよく合い、ライヴのノリとしてはどちらかといえば整然としたNDR以上。
後半プロの「英雄の生涯」がまたさらに熱い大演奏で、ドホナーニの凄さがよく分かりました。いや、参りました。
ドホナーニはこれまで数年の間に、ネットラジオで頻繁に流れています。
聴いたものではNDRがほとんど、ほかに客演でニューヨーク・フィル、スイス・ロマンド管、フィルハーモニア、ピッツバーグ響、イスラエル・フィル、ボストン響など。
直近だと次週3月3日のNDRでハイドンの64番に、イヴォンヌ・ネフ、そしてゲルネ(!)との「青ひげ公の城」が流れる予定です。
歳が歳ですし、オペラはもうやらないんでしょうね。それだけが心残り。例外的に「青ひげ」は演奏会形式でよく取り上げています。
CDで完成することのなかった「指環」四部作を、このひとで是非聴いてみたいものですが。
それでも、聴きたくても聴けなかった名指揮者のライヴが毎週のように聴けるとは、本当に贅沢ないい時代になったものです。

2008.02.23
昨夜のドイツ放送フィル

ファブリス・ボロン
昨夜のネットラジオから、ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会をBartokRadioで聴きました。
このオーケストラは出来てまだ間もなく、ザールブリュッケン放送響とカイザースラウテルンSWR放送管が合併して再編成されたオケだそうです。
なので運営もザールラント放送と南西ドイツ放送の共同、音楽監督はザールブリュッケンのクリストフ・ポッペンが引き続き務めており、定期公演はザールとカイザースラウテルンで半々という具合。
個人的には1990年代にFM東京でよく放送してくれたザールブリュッケン放送響が思い出深く、当時監督のヘルビッヒ、マイケル・スターンをはじめ若杉弘やヴィオッティ、マンデアル、カンブルランと曲者揃いの客演は、オケの力量こそNDRやバイエルンには劣るものの渋い名演の連発で、発展的解消とはいえ残念でした。
昨夜は音楽監督のポッペンが振る予定でしたが、急病によりフランスの40代の指揮者、ファブリス・ボロンが曲目変更せず代役に立ちました。
この指揮者は前にもネットラジオでいくつか聴いた覚えがありますが、年齢的にはもう中堅どころの割りにそれほど印象には残っていません。しかし昨夜の「巨人」は凄かった。
オケは相変わらずミスも散見され、放送も妙なノイズが常時乗っていたものの、集中力が十分で、実に引き締まった硬派な名演でした。前半のヤン・フォーグラーを迎えたシューマンのチェロ協奏曲も、むせぶようなシューマン節。
忘れもせぬ四半世紀前のベルリン芸術週間でのマーラー8番、テンシュテット→アツモンなど、代役だとガッカリすることもかなり多いのですが、今回は違いました。
こちらでまだ一週間ほど聴けます。
2008.02.20
凄味を増すマレク・ヤノフスキ

マレク・ヤノフスキ
もう3年前の年明けだったと思いますが、オペラキャストさんのサイトを発見して、ドイチュラントラジオから流れてくるストリームを初めて聴いたときの感激は忘れられません。
当時はまだドイチュラントラジオも.oggの高ストリームはなく、.wmaの32kbpsという非常な低ビットレートでしたから、音質は歪み、水道管から出てくるような「ジョロジョロ」というノイズと一緒に聞こえてくる貧相な代物だった訳です。
それでも日本では放送されることは(おそらく)ないであろう、ベルリン放送響の定期、首席指揮者ヤノフスキによるメインプロのブルックナー9番の響きには、涙が出るほどの嬉しさを覚えたものでした。
すでに70も手に届こうかというマレク・ヤノフスキ(1939-)とは、NHK-FMのエアチェックの頃からの長い付き合いです。
彼を世界的に有名にしたオイロディスク=DENONの「指環」全曲から、ごくたまにNHK-FMでも彼の指揮した演奏会やオペラが流れるようになりました。1980年代の半ばだったでしょうか。
どちらかというと放送ではコンサートの頻度が高く、当時の手兵フランス国立放送フィルとの演奏会がほんのいくつか日本でも流れたことがあり(ブルックナー5番/1990など)、来日時の演奏もフランス物が中心でしたが集中的に放送されました(ラヴェル、「オルガン付」、シューマン「ライン」など/1993)。N響へも1986年に初客演を果たし、いまのところ1998年まで数度に渡り登場しています。
手元にN響初客演時のブレンデルとの「皇帝」があります。放送フィルとのフランス物も録音していますが、まだこの頃の印象では、手堅い、職人肌の何でも屋さんかという漠たるイメージしかありませんでした。
1990年のバスティーユ・オペラでのブルックナー5番にしても、木管の独特な響きや、柔らかい全奏から感じられる印象は、ヤノフスキではなくフランスのオケのブルックナー―しかしかなり面白い―という方が正直強かったものです。
余談ですが、このときのブルックナーは、「指環」全曲上演と並ぶ国立放送フィルとの大仕事、ブルックナー・ツィクルスのひとつだったそうです。当時の「レコード芸術」海外楽信では、パリの木下健一さんによるレポートで、ヤノフスキと放送フィルの大活躍をよく報じていましたが、その頃の日本では結局彼らの活躍を「線」ではなく「点」としてしか捉えることが出来なかったのです。
はじめてのネットラジオで運命的な再会をしてからというもの、ベルリンの放送オケという放送に乗り易い職に就いていることもあり、日本での貧弱な紹介をはるかに凌ぐ多くの演奏会を聴くことが出来ました。ベルリン放送響のほかにも2000年以来兼職するモンテカルロ・フィルや、客演でNDR、デンマーク国立放送響、ピッツバーグ響(ここはトゥルトリエ、A・デイヴィスと共同で首席でしたが)、スイス・ロマンド管などなど。
聴いていくうちに凄い演奏にもいくつか当たるようになりました。かなり前のNDRとのシューマンの4番は、快速で飛ばしエネルギーの発散が凄まじく、それはもう素晴らしかった。「プラハの秋」音楽祭へベルリン放送響と訪れた「英雄の生涯」も感動的な演奏でした。
昨季のベルリンでのワーグナー・ツィクルス(「ジークフリート」第3幕、「黄昏」抜粋、「パルジファル」第3幕)など、指揮者が小粒だの散々言われたドレスデンとの録音時以上に深みを増しているようにも思われました。
「黄昏」の抜粋など、クライマックスに向けてどんどん疲労し金切声でがなり立てるブリュンヒルデ(エリザベス・コンネル)の不調に比べ、オケが実に魅力的に歌っていたのに驚いたほどです。
基本的に速目のテンポでグイグイと引き込むあたりは、昔とそれほど変わらない印象ですが、全体のスケールが大きくなり、響きの強さも十分に出て来ているように感じます。熱の帯び方も半端ではありません。
たとえばホルスト・シュタインや、ヤノフスキの師であるサヴァリッシュも、「職人的」というひとことで簡単に片付けられてきた感じが日本ではまだ強いですが、特に海外のライヴでは素晴らしく「熱い」演奏が多かったこともまた事実です。シュタインだと1970年代のバイロイト・リングからして既にそうです。そしてそれは歳と共にどんどん深みを増していったと考えます。
ヤノフスキもまだ69歳ですから、この先どうなるかは分かりませんが、日本からは足が遠のいており、CDもなかなか出ない現況を鑑みると、ただの職人、で片付けられてしまうのでしょうか。
これは大変残念なことと言わざるを得ません。
ベルリン放送響との2007/08シーズンでは、これまでドヴォルザークの8番、ブラームス4番などが取り上げられ、直近で放送されたベートーヴェン5番もオケを締め上げるかのような快速で、それでいて少しも軽さを感じない豊かで強靭な演奏には度肝を抜かれました。
また、今季はBruckner Massivと題しブルックナー・ツィクルスも行っています(昨季はこれがワーグナーだった訳です)。これまで1番、7番、ミサ曲第2番が放送され、3月中旬にはいよいよ8番、シーズンの最後に6番が予定されています。
いずれもドイチュラントラジオで確実に流れます。ドイチュラントラジオの90kbps.oggストリームは、左右逆に聞こえたり、強奏でややリミッターがかったようにも感じられますが、それが苦にならない耐性のある方は聴かれてみてはいかがでしょうか。
2008.02.17
エルダーのショスタコーヴィチ

マーク・エルダー
昨夜のボストン響定期から、マーク・エルダー(1947-)の客演を聴きました。
曲はレーピンとのシベリウスのヴァイオリン協奏曲、後半がショスタコーヴィチの4番。
この曲の組み合わせだと、1997年のゲルギエフとロッテルダム・フィルのウィーン客演(ヴァイオリンはシャハム)が真先に思い出されます。
前半のレーピンのシベリウスは大盛り上がり。アンコールのパガニーニでは思い切り聴衆を沸かせていました。
すごかったのがメインのタコ4。
ライヴでしたから、もちろんアンサンブルの乱れ(第1楽章の高速フーガの直後は乱れないオケはありません)、ソロの出来にも差はありましたが、エルダーとオケの集中力は素晴らしいものでした。
第1楽章は高速フーガの後にやや崩れるや、すかさずクライマックスを持ってきたような凄まじい緊張感を見せ(冒頭復帰直前の金管のトゥッティの激烈な響きはコンドラシン並!)、そのまま最後まで切れることなくテンションを維持。全休止まで意味深く聴かせ、間然とすることのない名演でした。
特に第3楽章のトロンボーンのソロなど、かなり不安定でしたが逆にかなり面白いイントネーションで聴かせ、低弦はかなりゴリゴリと厚みがあったものの、高弦はかなりの不調で第1楽章は響きが薄く乱れまくるなど、この楽団にとって1978年春のロジェストヴェンスキー(この年彼はベルリン・フィルやウィーン・フィルでもこの曲を取り上げています)以来のショスタコーヴィチ4番だったからでしょうか。その辺りにもライヴの緊張感はよく出ていたと思います。
以前クラウス・ペーター・フロールが、ルツェルンでフィルハーモニアとショスタコーヴィチの第10番を取り上げたことがあります。これも異様にスケールの大きい劇的な名演でした。ヤーノシュ・フュルストが亡くなる前にハンガリー放送響とパリへ来演したときの第12番も、切れば血の出るような凄絶な演奏でした。
ショスタコーヴィチの曲は、ノーマークの実演だとよくこういうことがあるだけに、いつも期待が大きくなります(ガッカリすることもまた多いですが)。
まだディスクに記録されている以上に、解釈の余地があるのか、またはライヴ映えするような曲が多いのか。後者はまず間違いないところでしょうが。
エルダーは現在、ハレ管の首席指揮者で、プロムス出演時など、ネットラジオでもそこそこかかるひとです(昨年のシベリウス1番もかなりの名演でした)。師のレジナルド・グッドール譲りの大器晩成なるか。
2008.02.15
次々と高音質化する各局
先日France Musiqueが高音質化しましたが、その影響か次々と高音質に対応する局が増えてきているようです。
番組表wikiで私も番組情報を書いている一人ですが、こうした高音質化は常にその局の動向をチェックしていないと分かるものではありません。地味ですが尊敬に値する、そうした作業をされている方には心から頭が下がる思いです。
今回気付いた書き込みのあった局は以下の通り。
()内は最高音質
カナダ国立フランス語放送RadioCanada(.wma96kbps)
スロヴェニア国立放送RadioSlovenia(.wma192kbpsか.rm96kbps)
西部ドイツ放送WDR(.rm96kbps)
バイエルン放送bayern 4 Klassik(.rm56kbps)
いずれも歓迎です。
特に注目すべきはWDRで、これでケルンWDR響の演奏会はほぼすべて聴けることになるでしょう。明日未明はクリストファー・ホグウッドのWDR響客演が早速流れるので、チェックしたいところ。
番組表もけっこう先まで出ていて、ケルンWDR響だとティルソン=トーマス(マーラー6番!)や、クリスティアン・ヤルヴィ(シベリウス2番)らの客演、4月頭の首席指揮者ビシュコフのドヴォルザーク8番までが予定されています。
個人的には、好きなギュルツェニヒ管も期待したんですが、今のところはありません。3月にプレミエの「タンホイザー」をGMDマルクス・シュテンツの指揮でやるケルン歌劇場はどうでしょうか。
また、RadioCanadaでは来週音楽監督ナガノ指揮モントリオール響、デュトワ客演指揮のトロント響(またしても「幻想交響曲」!)などが、RadioSloveniaでは明日未明にアレクサンドル・ヴェデルニコフ指揮スロヴェニア・フィル(プロコフィエフ5番)がそれぞれ予定されています。
バイロイト音楽祭の親局であるバイエルン放送も、ほんのちょっぴりながら音質アップしていますが、まだまだこれからでしょう。今後も目が離せません。
番組表wikiで私も番組情報を書いている一人ですが、こうした高音質化は常にその局の動向をチェックしていないと分かるものではありません。地味ですが尊敬に値する、そうした作業をされている方には心から頭が下がる思いです。
今回気付いた書き込みのあった局は以下の通り。
()内は最高音質
カナダ国立フランス語放送RadioCanada(.wma96kbps)
スロヴェニア国立放送RadioSlovenia(.wma192kbpsか.rm96kbps)
西部ドイツ放送WDR(.rm96kbps)
バイエルン放送bayern 4 Klassik(.rm56kbps)
いずれも歓迎です。
特に注目すべきはWDRで、これでケルンWDR響の演奏会はほぼすべて聴けることになるでしょう。明日未明はクリストファー・ホグウッドのWDR響客演が早速流れるので、チェックしたいところ。
番組表もけっこう先まで出ていて、ケルンWDR響だとティルソン=トーマス(マーラー6番!)や、クリスティアン・ヤルヴィ(シベリウス2番)らの客演、4月頭の首席指揮者ビシュコフのドヴォルザーク8番までが予定されています。
個人的には、好きなギュルツェニヒ管も期待したんですが、今のところはありません。3月にプレミエの「タンホイザー」をGMDマルクス・シュテンツの指揮でやるケルン歌劇場はどうでしょうか。
また、RadioCanadaでは来週音楽監督ナガノ指揮モントリオール響、デュトワ客演指揮のトロント響(またしても「幻想交響曲」!)などが、RadioSloveniaでは明日未明にアレクサンドル・ヴェデルニコフ指揮スロヴェニア・フィル(プロコフィエフ5番)がそれぞれ予定されています。
バイロイト音楽祭の親局であるバイエルン放送も、ほんのちょっぴりながら音質アップしていますが、まだまだこれからでしょう。今後も目が離せません。
2008.02.15
France Musiqueのスト
前のエントリーで紹介したシュミット=イッセルシュテットのアーカイヴ特集が、フランス国立放送のストライキにより放送中止となりました。
ヤフーの海外トピックスや、本日付の讀賣新聞朝刊にもあるように、France Musiqueだけでなく国立放送全体がサルコジ大統領の国立放送改革案に反発し、13日一日中生中継の放送を一切中止したそうです。おのれサルコジ(笑)
当日、ネットラジオの方では代替としてFrance VivaceのCD垂れ流し放送が延々と流れておりました。
危惧していたこの国の問題点がこうも早期に出てくるとはと、苦笑しきりです。
まあS=イッセルシュテットについては、またこの先に再放送を期待したいと思います。原因は違いますが、NHK-BSでもN響定期が国会中継でよく流れますし、慣れっこなんですね、こういうことは。NHK-FMの方でも地震や災害情報などで、一期一会のライヴ放送が中断したり、音楽に被ったりするのはよくあることです。
記憶にあるのは1990年代の半ば、アッバードとベルリン・フィルの「火の鳥」に災害情報が、ジェフリー・テイトとベルリン放送響のヴォーン=ウィリアムズの珍しい宗教曲の途中(「ドナ・ノビス・パーチェム」だったか、これは美しい曲だったのに・・・)でも確か流れてダメになりました。BSだと最近でも井上道義のタコ4で地震を伝えるニューステロップが流れていたし。
エアチェックマニアとしては、昨年の王監督風に言えば、「しゃーない」んです。向こうのストもそういうことと割り切るべきでしょう。
ただ国立放送自体のストは報道にあるように34年ぶりだとか。そう言われてはまさに仕方なし、というか、ストの多い国ながら国立放送は頑張ってる方かなあとさえ思ってしまいます。
本当に危惧するのはただ一点、この現在のよい流れがサルコジの改革案によって、放送局の編成にまで影響するのかどうか。当然ながら、影響しないでいただきたいものです。
来週のアーカイヴですが、とりあえず出ている番組表では、ハンガリー生まれでフランスに帰化した名指揮者、ジョルジュ・セバスティアン特集が予定されています。
このひとも非常にフランスと縁が深いので、放送を期待していました。1946年にパリ・オペラ座の指揮者に就任し、オペラ・コミークやフランス国立放送管とも関係の深かったひとです。確か1968年の国立放送管の初来日にも同行していたと思います。
プログラムはフランス国立放送管とのチャイコフスキー(交響曲第1番と「フランチェスカ・ダ・リミニ」)を中心に、シューマンの「春」など。欲を言えば、彼の振るオペラが聴きたかったんですけども。
ヤフーの海外トピックスや、本日付の讀賣新聞朝刊にもあるように、France Musiqueだけでなく国立放送全体がサルコジ大統領の国立放送改革案に反発し、13日一日中生中継の放送を一切中止したそうです。おのれサルコジ(笑)
当日、ネットラジオの方では代替としてFrance VivaceのCD垂れ流し放送が延々と流れておりました。
危惧していたこの国の問題点がこうも早期に出てくるとはと、苦笑しきりです。
まあS=イッセルシュテットについては、またこの先に再放送を期待したいと思います。原因は違いますが、NHK-BSでもN響定期が国会中継でよく流れますし、慣れっこなんですね、こういうことは。NHK-FMの方でも地震や災害情報などで、一期一会のライヴ放送が中断したり、音楽に被ったりするのはよくあることです。
記憶にあるのは1990年代の半ば、アッバードとベルリン・フィルの「火の鳥」に災害情報が、ジェフリー・テイトとベルリン放送響のヴォーン=ウィリアムズの珍しい宗教曲の途中(「ドナ・ノビス・パーチェム」だったか、これは美しい曲だったのに・・・)でも確か流れてダメになりました。BSだと最近でも井上道義のタコ4で地震を伝えるニューステロップが流れていたし。
エアチェックマニアとしては、昨年の王監督風に言えば、「しゃーない」んです。向こうのストもそういうことと割り切るべきでしょう。
ただ国立放送自体のストは報道にあるように34年ぶりだとか。そう言われてはまさに仕方なし、というか、ストの多い国ながら国立放送は頑張ってる方かなあとさえ思ってしまいます。
本当に危惧するのはただ一点、この現在のよい流れがサルコジの改革案によって、放送局の編成にまで影響するのかどうか。当然ながら、影響しないでいただきたいものです。
来週のアーカイヴですが、とりあえず出ている番組表では、ハンガリー生まれでフランスに帰化した名指揮者、ジョルジュ・セバスティアン特集が予定されています。
このひとも非常にフランスと縁が深いので、放送を期待していました。1946年にパリ・オペラ座の指揮者に就任し、オペラ・コミークやフランス国立放送管とも関係の深かったひとです。確か1968年の国立放送管の初来日にも同行していたと思います。
プログラムはフランス国立放送管とのチャイコフスキー(交響曲第1番と「フランチェスカ・ダ・リミニ」)を中心に、シューマンの「春」など。欲を言えば、彼の振るオペラが聴きたかったんですけども。
2008.02.10
オランダRadio4 ハイティンク特集

若き日のハイティンク
日本時間の毎週火曜日未明に、過去のアーカイヴを放送してくれるオランダRadio4。
毎月ひとりずつ、オランダ出身・またはゆかりの深い演奏家をずっと取り上げているこの枠ですが、いよいよ2月は満を持してベルナルド・ハイティンクの登場です。
これまで放送されたのは、エルネスト・ブール、ハンス・フォンク、ウィレム・ファン・オッテルロー、エリー・アメリンク、ロナルド・ブラウティガム、ヘルマン・クレッバース、ヤルド・ファン・ネスなどなど、地味ですが滋味な素晴らしい演奏家たちばかり。
ハイティンクの予定は2回目の分まで番組詳細が判明しており、初回は古い古い1958年の「魔笛」、タミーノがなんとヴンダーリヒです。
ハイティンクがこんなに早くから(まだ27歳!)オペラを振っているとは。ライヴではなく放送録音のようですが、これは面白そう。オケはヴァイオリニストを務めていたオランダ放送フィルで、ハイティンクは1958年当時このオケの第二指揮者でした。
また、2回目はコンセルトヘボウとの1970年のマーラー3番。
この時期はコンセルトヘボウと最初のマーラー全集の録音を進めていた頃です。オランダのアーカイヴ掘り起こしは放送だけではなく、CDもかなり出ていますが、そのお陰でライヴの形でもこの頃のハイティンクのマーラーは6番、7番、「嘆きの歌」など聴くことが出来ます。3番はおそらく初出でしょう。
この時期のハイティンクのマーラーは、粘りに不足し過ぎてあまりよいとは思いませんでしたが、3番が最も合っているように思うので楽しみです。
放送予定は以下の通りです。
2008-02-12
Mozart/Schikaneder. Die Zauberflöte.
Rolverdeling: Pamina: Maria van Dongen, sopraan.
Tamino: Fritz Wunderlich, tenor.
Saeastro: Albert van Naasteren, bas.
Koningin van de nacht: Juliana Farkas, sopraan.
Papageno: Jan Derksen, bariton e.a.
Radio Filharmonisch Orkest en Omroepkoor o.l.v. Bernard Haitink.
KRO Opname van 24-5-1958.
2008-02-19
1.Vivaldi. Stabat Mater.
Radio Filharmonisch Orekst o.l.v. Bernard Haitink.
Helen Watts, alt.
2. Mahler. Symfonie nr. 3 in d.
Radio Filharmonisch Orkest o.l.v. Bernard Haitink.
Groot Omroepkoor, Jongenskoor van de Willibrorduskerk Amsterdam.
Helen Watts, alt.
Opname van 7-11-1970 in Concertgebouw in Amsterdam
2008.02.08
マゼール、45年ぶりのMET復帰

ロリン・マゼールが1963年の「ドン・ジョヴァンニ」以来、45年ぶりにMETの指揮台に復帰しました。
演目は「ヴァルキューレ」。先週の日曜未明の各局オペラ枠でのハイライトは言うまでもなくこの上演でした。
マゼールは1960年に史上最年少(30歳)でバイロイトへ登場、この年の「ローエングリン」(Golden Melodramから出ています)をライトナーと振り分けたのちの1962年秋にMETにデビューしています。
ただこのときは「ばらの騎士」と「ドン・ジョヴァンニ」の二演目を振ったのみで、わずか三ヶ月ほどでMETとは訣別し、1964年ベルリン放送響(現ベルリン・ドイツ響)、1965年ベルリン・ドイツ・オペラの指揮者となり、しばらくの間は活動の拠点をベルリンに置いています。
その後アメリカでもクリーヴランドやピッツバーグではポストを得ていますが、ニューヨーク・フィルの音楽監督となった2002年からMETでもオペラを振らないかなと淡い期待を寄せていました。
まあウィーン国立歌劇場ともうまく行かず事実上の解任を経て、マゼール自身オペラにはかなり慎重な姿勢を取り続けていましたから、正直どうかな〜とは思っていたので、今回の復帰は本当に歓迎すべきものです。
全米各局やBartokRadioで生中継された2月2日のキャストは以下の通りです。
Brünnhilde..............Lisa Gasteen
Siegmund................Clifton Forbis
Sieglinde...............Deborah Voigt
Wotan...................James Morris
Fricka..................Michelle DeYoung
Hunding.................Mikhail Petrenko
Gerhilde................Kelly Cae Hogan
Grimgerde...............Edyta Kulczak
Helmwige................Claudia Waite
Ortlinde................Wendy Bryn Harmer
Rossweisse..............Mary Phillips
Schwertleite............Jane Bunnell
Siegrune................Leann Sandel-Pantaleo
Waltraute...............Laura Vlasak Nolen
1月7日から2月6日からマゼールが振った五公演中、主要キャストではフリッカだけが歌い分けられており、最初の3回をステファニー・ブライスが、後半2回をミシェル・デ・ヤングが歌っています。ニューヨーク・タイムズの評では初日のブライスが絶賛されています。
マゼールの「ヴァルキューレ」に関しては、「ワーグナーヤールブーフ」の1998年号において、金子健志氏の詳細な分析を読むことが出来ます。
このときの分析は1968〜69年にバイロイトへ再登板し「指環」を振った際のものです。
『言葉が優先される箇所では速めに進め、音楽に主導権が移る山場では大きくテンポを落として、ピン・スポット的にクライマックスを作ってみせるという、緩急の変化の大きい解釈を採っていた』
『(第三幕のクライマックス、眠りの動機がトゥッティで鳴り響く箇所)マゼールのそれは、通常の意味でのブレーキとしてのリテヌートの範疇を完全に越えた、完全なフェルマータ―しかもいつ果てるともしれない、常識外れに長大なフェルマータで引き延ばしたのだ』
『マゼールの凄いところは、天性の指揮技術によって、そうした無理筋に近い誇張を、オーケストラに実際の音として貫徹させてしまう』
1968年の録音は、新潮社からCDブックの形で出ていた音質劣悪な音源を聴くことが出来ます。
こちらでは件の第三幕のクライマックスはそれほどでもないのですが、第一幕の最後でジークムントが「遠く、春の微笑む家へ、行くのだ」の箇所でトランペットを浮かせ「剣の動機」を強く印象付けているのは、この演奏しか知りません。
但し、1969年の録音では、第三幕のそれが金子氏の云うとおり、ものすごい大ブレーキとともに眠りの動機が鳴り響き、この悲劇的な場面を実に劇的に、印象付けています。
「指環」全体としても「ジークフリート」の快速テンポにわが最愛のミーメ、シュトルツェが悲鳴を上げそうなほど締め上げられていますし、「黄昏」終景などの音響は耳を塞ぎたくなるほどの凄まじさであるなど、本当にこの時期のマゼールは凄い。
で、それから40年、マゼールとMETの「ヴァルキューレ」はどうであったか。
第三幕だけとりあえず聴いてみましたが、METがワーグナーを演るときのオケの音の貧しさは、こちらがバイロイトの音を基準に聴いている以上、どうにも仕方ないものの、それを超えた素晴らしさが確かにありました。
やや遅めのテンポで「アンファン・テリブル」だった頃のマゼールのやりたい放題ぶりは抑えられているかのようにも思えましたが、それでも普通の演奏では聴こえないようなマゼールならではのバランスは健在。件のクライマックスに至っては、ここぞとばかりに往年のマゼール節が炸裂。
尤もそれはやはり「常識外れ」ではありましたが、「無理筋」には聴こえず、じっくりと自然に音楽が高まっていく「成熟」の現れとして、感動的に響いたのでした。
ちなみに金子氏が後年マゼール自身に、その「ヴァルキューレ」のその部分のことを尋ねたところ、「昔のことだし、一々覚えていない」と一蹴されたそうです。右脳と左脳はやっぱり別なんですねえ。
何にせよもう一度じっくりと第一幕から聴き直してみたい、幸福な再会であったことは間違いないようです。

バイロイトのマゼール
2008.02.07
ハンス・シュミット=イッセルシュテット

来週2月13日(日本時間14日未明)のFranceMusiqueアーカイヴには、ドイツの名匠ハンス・シュミット=イッセルシュテット(1900-1973)が登場します。
北ドイツ放送響の首席指揮者を楽団創立の1946年から務め、71年まで四半世紀強もの長きに渡りNDRを鍛え上げ続け、その間ストックホルム・フィルの指揮者も兼任しています。
ライヴのかなり少ないひとで、結構前にNDRがEMIと共同でアーカイヴ音源を出していたほか、TAHRAもマーラーなど出し、ほんの僅かながら再評価の機運が一時高まっていたように思いますが、このところまたそれも下火になっている中での特集です。
私のエアチェックの手持ちも、NHK-FMで大昔放送されたハイドン96番、ロルツィングのホルン協奏曲、「町人貴族」という激シブのプログラムでベルリン放送響へ客演したものしかないのです。
レパートリーとしては知られているものはほとんど独墺物で、今回の特集ではラヴェルが大きな聴き物となるでしょう。当時飛ぶ鳥を落とすほどの勢いだったヴァン・クライバーンとの「皇帝」も楽しみですが、やはりブラームス2番が期待大。来週は本物のブラームスが聴けるかもしれません。
Mercredi 13 Février 2008
20:00 C'était hier
par Alain Pâris
Hans Schmidt Isserstedt et l'Orchestre National de l'ORTF
Ravel - "Rapsodie espagnole" (concert du 9 février 1960)
Beethoven - Concerto pour piano n°5
Van Cliburn, piano (concert du 30 juin 1964)
Blacher - Variations sur un thème de Paganini (concert du 6 décembre 1972)
Brahms - Symphonie n°2 (concert du 30 juin 1964)
Réalisation : Géraldine Prutner

