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2008.02.08
マゼール、45年ぶりのMET復帰

ロリン・マゼールが1963年の「ドン・ジョヴァンニ」以来、45年ぶりにMETの指揮台に復帰しました。
演目は「ヴァルキューレ」。先週の日曜未明の各局オペラ枠でのハイライトは言うまでもなくこの上演でした。
マゼールは1960年に史上最年少(30歳)でバイロイトへ登場、この年の「ローエングリン」(Golden Melodramから出ています)をライトナーと振り分けたのちの1962年秋にMETにデビューしています。
ただこのときは「ばらの騎士」と「ドン・ジョヴァンニ」の二演目を振ったのみで、わずか三ヶ月ほどでMETとは訣別し、1964年ベルリン放送響(現ベルリン・ドイツ響)、1965年ベルリン・ドイツ・オペラの指揮者となり、しばらくの間は活動の拠点をベルリンに置いています。
その後アメリカでもクリーヴランドやピッツバーグではポストを得ていますが、ニューヨーク・フィルの音楽監督となった2002年からMETでもオペラを振らないかなと淡い期待を寄せていました。
まあウィーン国立歌劇場ともうまく行かず事実上の解任を経て、マゼール自身オペラにはかなり慎重な姿勢を取り続けていましたから、正直どうかな〜とは思っていたので、今回の復帰は本当に歓迎すべきものです。
全米各局やBartokRadioで生中継された2月2日のキャストは以下の通りです。
Brünnhilde..............Lisa Gasteen
Siegmund................Clifton Forbis
Sieglinde...............Deborah Voigt
Wotan...................James Morris
Fricka..................Michelle DeYoung
Hunding.................Mikhail Petrenko
Gerhilde................Kelly Cae Hogan
Grimgerde...............Edyta Kulczak
Helmwige................Claudia Waite
Ortlinde................Wendy Bryn Harmer
Rossweisse..............Mary Phillips
Schwertleite............Jane Bunnell
Siegrune................Leann Sandel-Pantaleo
Waltraute...............Laura Vlasak Nolen
1月7日から2月6日からマゼールが振った五公演中、主要キャストではフリッカだけが歌い分けられており、最初の3回をステファニー・ブライスが、後半2回をミシェル・デ・ヤングが歌っています。ニューヨーク・タイムズの評では初日のブライスが絶賛されています。
マゼールの「ヴァルキューレ」に関しては、「ワーグナーヤールブーフ」の1998年号において、金子健志氏の詳細な分析を読むことが出来ます。
このときの分析は1968〜69年にバイロイトへ再登板し「指環」を振った際のものです。
『言葉が優先される箇所では速めに進め、音楽に主導権が移る山場では大きくテンポを落として、ピン・スポット的にクライマックスを作ってみせるという、緩急の変化の大きい解釈を採っていた』
『(第三幕のクライマックス、眠りの動機がトゥッティで鳴り響く箇所)マゼールのそれは、通常の意味でのブレーキとしてのリテヌートの範疇を完全に越えた、完全なフェルマータ―しかもいつ果てるともしれない、常識外れに長大なフェルマータで引き延ばしたのだ』
『マゼールの凄いところは、天性の指揮技術によって、そうした無理筋に近い誇張を、オーケストラに実際の音として貫徹させてしまう』
1968年の録音は、新潮社からCDブックの形で出ていた音質劣悪な音源を聴くことが出来ます。
こちらでは件の第三幕のクライマックスはそれほどでもないのですが、第一幕の最後でジークムントが「遠く、春の微笑む家へ、行くのだ」の箇所でトランペットを浮かせ「剣の動機」を強く印象付けているのは、この演奏しか知りません。
但し、1969年の録音では、第三幕のそれが金子氏の云うとおり、ものすごい大ブレーキとともに眠りの動機が鳴り響き、この悲劇的な場面を実に劇的に、印象付けています。
「指環」全体としても「ジークフリート」の快速テンポにわが最愛のミーメ、シュトルツェが悲鳴を上げそうなほど締め上げられていますし、「黄昏」終景などの音響は耳を塞ぎたくなるほどの凄まじさであるなど、本当にこの時期のマゼールは凄い。
で、それから40年、マゼールとMETの「ヴァルキューレ」はどうであったか。
第三幕だけとりあえず聴いてみましたが、METがワーグナーを演るときのオケの音の貧しさは、こちらがバイロイトの音を基準に聴いている以上、どうにも仕方ないものの、それを超えた素晴らしさが確かにありました。
やや遅めのテンポで「アンファン・テリブル」だった頃のマゼールのやりたい放題ぶりは抑えられているかのようにも思えましたが、それでも普通の演奏では聴こえないようなマゼールならではのバランスは健在。件のクライマックスに至っては、ここぞとばかりに往年のマゼール節が炸裂。
尤もそれはやはり「常識外れ」ではありましたが、「無理筋」には聴こえず、じっくりと自然に音楽が高まっていく「成熟」の現れとして、感動的に響いたのでした。
ちなみに金子氏が後年マゼール自身に、その「ヴァルキューレ」のその部分のことを尋ねたところ、「昔のことだし、一々覚えていない」と一蹴されたそうです。右脳と左脳はやっぱり別なんですねえ。
何にせよもう一度じっくりと第一幕から聴き直してみたい、幸福な再会であったことは間違いないようです。

バイロイトのマゼール
edc
こんにちは。一通り聞きました。オーケストラはいいけど、歌手がねぇ・・の気分です。第一に好みの声がありません。テノールはあまりにもバリトンっぽすぎて、このオペラは何、ジークムントはどこ?状態になります。しかも心地よいバリトンでもない。ジークリンデも全然可愛くないし・・ ブリュンヒルデもぱっとしませんねぇ・・否定的なことばかり言ってごめんなさい。
2008/02/08 Fri 17:24 URL [ Edit ]
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